2016.7.4.Mon

大阪・京都・神戸~三都物語~関西フレンチ トップシェフの饗宴

APEC国際会議の舞台として、各国の要人をもてなしてきた大阪迎賓館。この歴史的建造物リニューアルし、最高のおもてなし「饗応料理」を愉しむレストランとして生まれ変わったのが「大阪城西の丸庭園 大阪迎賓館」です。重厚感あふれる純和風建築にふさわしい、日本の伝統とフレンチの技術を融合させた独自の料理が人気。そんな「大阪城西の丸庭園 大阪迎賓館」を舞台に、関西フレンチ界を牽引するトップシェフ4人によるディナーイベントが実現しました。大阪は「Restaurant Varier」高井実シェフと「La Maison Blanche」加藤賢一シェフ、京都は「高台寺 極」石井之悠シェフ、神戸は「Recette」依田英敏シェフが参加し、一夜限りのコラボレーション。それぞれのお店の常連さんをはじめ、多くの食通のお客様が来店されました。

オリジナルカクテルを片手に夕涼み。
4人のシェフが饗宴する特別な夜のはじまり

広大な緑の敷地を、心地よい風が吹き渡る初夏の夕暮れ。アペリティフはスパークリングワインをにごり酒で割り、中に金平糖が入れられた可愛らしいカクテル。金平糖を、雲に見え隠れする月になぞらえ「おぼろ月」と命名されたシニアソムリエのオリジナルです。スタンダードジャズのピアノ生演奏を聴きながら夕涼みをするうち、特別な夜を予感させる華やいだ雰囲気も徐々に高まります。「今夜は4人のシェフに加え、キッチンやサービスのスタッフもあわせて約30人が集結しました。若いエネルギーとともに構築した料理を、是非おたのしみください という石井シェフからのご挨拶で宴がスタート。まずは「饗宴のはじまり、出会いの一皿」と題したアミューズが供されました。泉州の水茄子と乾燥生ハムの付け合わせや、オマール海老にゆっくりとソテーされた京ネギとトリュフを添えたもの、また、絶妙な火入れで味わいと食感を閉じ込めたホタテのミキュイなど、関西の食材、旬の食材を用いた小品の数々が並びます。美しいアミューズがサーブされると、シェフたちのプライドと思いを込めた特別な一夜がはじまりました

桃とプラムの酸味が食欲を誘う。
重みのあるフォアグラをさっぱりといただく前菜

前菜を担当するのは「Restaurant Varier」の 高井実シェフ。かつて“食の殿堂”と呼ばれたホテルプラザ「ル・ランデブー」にてステファン・ランボー氏に師事、南仏のミシュラン2つ星レストラン「ロアジス」でも修行を重ねたシェフです。今宵の一皿は、ピスタチオとクルミを挟み込んだフォアグラに、エシャロットと黒胡椒が香る桃とプラムのサラダ。フォアグラはキャラメリゼされており、その甘みと脂のコクが絶妙にマッチしています。脇を固める桃とプラムのさわやかな酸味が次への食欲を駆り立て、華やかさとフランス料理本来の力強さを兼ね備えた味わい深い一品に仕上げられていました。

深みのあるすっぽんのコンソメスープは、
ウサギとすっぽんの身の“混浴”仕立て

イタリア産ウサギの腿肉を、岡山産天然すっぽんの肉で巻いてロースト。涼し気なガラスの器でサーブされ、そこに、コクのあるすっぽんのコンソメスープが目の前で注がれます。「Recette」の依田英敏シェフは「ル・ポンドシエル」での修行を経て独立。クラシックなレシピを現代的に表現する料理が持ち味です。この日も、メニューを見ただけで好奇心が掻き立てられる独創的フレンチを披露。ラパンもすっぽんも、ともに獣風味の少ないさっぱりとした肉質で、甲羅と野菜をじっくり煮込んだ深みのあるスープを引き立てています。すっぽんの卵をボイルし、極上の黄身だけを取り出して乗せ、彩りも美しいスープが完成しました。

鱧と鮑をブールブランソースで。
クラシックフレンチがよみがえる

続く魚料理は「高台寺 極」の石井之悠シェフから。スイス・チューリッヒのグランメゾン「レストランファンベック」で活躍し、帰国後は「ラピエール」を独立オープン。現在は、ここ「大阪城西の丸庭園 大阪迎賓館」のキッチンをはじめ、バリューマネジメントグループのキッチンすべてで指揮を執るグランシェフです。この日は、30年来の友人へのオマージュとして、鮑と鱧をチョイス。鱧はカダイフを巻き付け、ぱりぱりとした食感と鱧の歯ごたえの両方を楽しむ一品に。また鮑は、濃厚な肝がブールブランソースと相まって、王道フレンチの味を一層引き立てていました。60代以上のお客様には特に懐かしく「昔ながらのフランス料理に再会した気分ですね」との声も聞かれました。

滋味深い地鶏で赤座海老を巻き上げたポーピエット。
贅の極みの肉料理

「La Maison Blanche」の加藤賢一シェフはフランスの「ジョルジュ・ブラン」、「ミシェル・ゲラール」で修行し、帰国後はホテルプラザ「ル・ランデブー」を経て独立。のびやかな発想を盛り込んだ自然体の料理を得意とするシェフです。メインの肉料理はフランスの伝統料理、ポーピエット。天草大王はみっちりとした肉質で噛めば噛むほどに味わいが出る九州・熊本の地鶏。この鶏肉を贅沢に使い、赤座海老のローストを巻き上げました。鶏の骨を焼いて出汁を取り、ベルモットや白ワイン、隠し味に生クリームを加えたソースには、ピスタチオやアーモンド、クルミを添えて歯触りも楽しい一皿に。また、レバーをペースト状にしてタルト仕立てにした、お菓子のように可愛らしい小品も添えられました。

フランス料理の系譜をたどる一夜。
饗宴の余韻に包まれて

締めくくりのデザートは、あんみつをモチーフとした一皿。日本酒のソルベが添えられており、さっぱりした甘味を愉しみながら、今宵を振り返っての談笑に花が咲きます。「王道あり、創作あり。4つのお店を一晩で回ってフレンチの系譜を堪能するような、たのしい夜になりました」と話されるお客様や、「日頃シャンパンしか飲まないけれど、今日はストーリー性のあるお酒が揃っていて、いつもより飲み過ぎてしまいました。贅沢な空間で、贅沢な時を過ごす。幸せですね」と話されるお客様も。20代の頃から互いに切磋琢磨してきた料理人が集い、魂をかけた真剣勝負。お料理の満足感と心地よい余韻に包まれて、一期一会の特別な夜が更けていきました。

Written by 北浦あかね(Office Red Roots)

2016.7.4
関西フレンチトップシェフの饗宴

MENU

大阪迎賓館より饗宴の始まり、出会いの一皿

〜Restaurant Varier 高井シェフ〜
「冷製 フォアグラ キャラメリゼ クルミ風味
エシャロットと黒胡椒の香る 桃のサラダと共に」

〜Recette 依田シェフ〜
うさぎとカメの混浴 ラパン腿肉のすっぽん詰めロースト すっぽんのコンソメを注いで

〜高台寺 極 石井シェフ〜
鱧と鮑 ブールブランソース 友へのオマージュ

〜La Maison Blanche 加藤シェフ〜
天草大王と赤座海老のポーピエット レバーのタルト仕立て

夏・京都のイマージュ 食後のお飲み物と小菓子

PAIRING SELECTION

MOET&CHANDON ICE IMPRIA
モエ・エ・シャンドン アイス・アンペリアル

HAIKU Castero di AMA 2011(Toscana)
ハイク カステッロ ディ アマ

SAKE SHICHIHONYARI
日本酒 七本槍 純米吟醸(日本/滋賀県)

Pouligny Montrachet Les Selection 2000
ピュリニー モンラッシェ
レアセレクション ルーデュモン 2000(Lou Dumon)

CALERA Josh Jensen Selection Pinot Noir 2014(CentralCoast)
カレラ ジョシュ・ジェンセン・セレクション ピノ・ノワール